tape2


276:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 03:20:46.94 ID:gy6Zy7ZM0

~第二篇~ 

――うどん屋 

律「へいおまち!」ドン 

梓「ありがとうございます」 

律「今回の新作は自信があるんだ」 

律「食べてみてくれ」 

梓「はい!」 

梓「……」ズルズル 

律「どうだ?」 

梓「美味しいです!」 

律「だろ?」 

澪「よかったな」 




279:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 03:26:50.80 ID:gy6Zy7ZM0

律「よーし、これなら店に出しても大丈夫だな」 

梓「律先輩って普通のダシでもうどん作れたんですね」モグモグ 

律「過去のことは忘れなさい」 

律「それと、口に物をいれて喋るんじゃありません」 

梓「すみません」モグモグ 

律「しっかし唯がお城に戻ってから急に静かになったなー」 

澪「そうだな」 

澪「ちょっと寂しいかも 

コンコン 

律「ん?誰か来た」 

律「はいはーい」 

ガラガラ 

純「こんにちはー」 

律「おー、純ちゃん」 



280:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 03:28:57.39 ID:/3ycbUhX0
なんか昔好きだった作品が時代が流れて続編が観れるって感慨深い 



281:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 03:31:19.64 ID:gy6Zy7ZM0

律「今日は定休日だぞー?」 

純「えへへー、どうしても食べたくって」 

律「仕方ないなー」 

梓「誰ですか?」 

澪「うちの常連さんだよ」 

澪「色々あって仲がいいんだ」 

梓「そうなんですか」 

律「まあ座って座って」 

純「はーい」 

純「あれ?」 

梓「あ、こんにちは」 



283:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 03:36:10.18 ID:gy6Zy7ZM0

純「……」ジー 

梓「?」 

純「むむ……」ジー 

梓「あの……」 

純「もしかして三味線の人?」 

梓「しゃ、三味線の人……?」 

純「中野梓?」 

梓「あ、はい」 

純「へー!」 

純「噂には聞いてたけど初めて見た!」 

梓「え、噂?」 

純「うん、この辺じゃ有名だよ」 

純「中野流当主の娘がこのうどん屋によく来るって」 



284:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 03:43:15.51 ID:gy6Zy7ZM0

梓「そんなに有名なの……?」 

律「あー、私が有名にしといた」 

梓「え?」 

澪「律が梓がよく来ることを、この辺の人に言いふらしてるんだ……」 

梓「ちょ!?」 

梓「なんでそんなことを!?」 

律「きゃー!怒ったー」 

梓「そりゃ怒りますよ!」 

梓「勝手に自分のこと言いふらされりゃ誰でも!」 

律「ははっ、宣伝宣伝」 



286:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 04:00:18.35 ID:gy6Zy7ZM0

純「ねえ、梓はどうしてこの店に来るようになったの?」 

梓(いきなり呼び捨て!?) 

純「ねえねえ梓ー」 

梓「知らない!」 

純「あ、怒った」 

梓「うるさい!」 

純「ご、ごめん……」 

梓「え?」 

純「ごめん……いきなり慣れ慣れしかったよね……」シュン 

梓「あれ……?」 

純「私帰るね……」トボトボ 

梓「あ、あの……」 



287:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 04:04:20.32 ID:gy6Zy7ZM0

純「……」チラッ 

梓「べ、別にそんなに怒ってない……よ?」 

純「本当……?」 

梓「う、うん」 

純「ですよねー」ケロッ 

梓(あ、演技だ) 

律「おーい、うどんのびちゃうぞ」 

純「あ、もう出来てたんですか」 

律「純ちゃんが梓とにらめっこしてた時にはもう出来てたよ」 

純「はやっ!?」 

唯「りっちゃんおいっす」ガラガラ 

律「うお!?唯!?」 

澪「急に来た!?」 



288:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 04:08:45.04 ID:gy6Zy7ZM0

唯「あ!」 

梓「唯先輩こんにち……」 

唯「あーずにゃん!」ギュッ 

梓「むぎゅっ」 

唯「あずにゃんも来てたんだ~」スリスリ 

梓「ちょっ、スリスリしないでください!」 

唯「あ~ん、いけず~」 

律「どうしたんだ~、急に」 

唯「えへへ~、遊びにきちゃった~」 

澪「今日は定休日なのに人が集まるな」 

律「そうだな」 



289:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 04:14:01.49 ID:gy6Zy7ZM0

唯「りっちゃん、私にもうどーん」 

律「はいはい」 

純「ねえ、梓」 

梓「何?」 

純「あの人、前うどん屋手伝ってたりしてたけど誰なの?」 

梓「平沢家当主の娘」 

純「ええ!?本当!?」 

梓「うん」 

純「このうどん屋ってなんかすごいね……」 

梓「そうかな?」 

純「うん、すごい」 

純「殿様の娘が店を手伝ったり、急に来たりするうどん屋なんてないよ」 

梓「あー、たしかに」 

純「たしかにって……」 



290:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 04:18:27.91 ID:gy6Zy7ZM0

律「はいよ」 

唯「ありがとー!」 

唯「……」ズルズル 

唯「むむ!?」 

唯「りっちゃん」 

律「ん?」 

唯「ダシ変えたね」 

律「お、わかる?」 

唯「わかるよ~」 

純「なんかみんなため口だけど……」 

梓「そんなもんだよ」ズルズル 

純「よーし……」 



291:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 04:23:34.84 ID:gy6Zy7ZM0

純「あ、あの!」 

唯「あ、純ちゃん久しぶり~」 

純「はい!お久しぶりです!」 

純「憶えててくれたんですね」 

唯「憶えてるよ~、常連さんだもん」 

純「ありがとうございます!」 

純「私のこと憶えてたよ!」ユサユサ 

梓「よかったね」グラグラ 

律「そう言えば憂ちゃんは元気かー?」 

澪「憂ちゃんとは最後に唯のお城にいったきりだな」 

唯「元気だよ~」 

純「憂ちゃん?」 

梓「唯先輩の妹だよ」 



292:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 04:29:16.45 ID:gy6Zy7ZM0

純「へー、妹がいるんですか」 

唯「そうだよ~」 

唯「憂はすごいんだよ~」 

律「あー、たしかに憂ちゃんはすごいな」 

純「私も会ってみたいです」 

唯「じゃあ今度憂も連れてくるねー」 

純「はい!」 

コンコン 

律「おお……また誰か来た」 

澪「今度は誰だ?」 

律「はいはーい」 

ガラガラ 

紬「こんにちはー」 



294:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 04:34:42.62 ID:gy6Zy7ZM0

律「おおー、ムギかー」 

唯「あ!ムギちゃん!」 

紬「まあ!」 

紬「唯ちゃんと梓ちゃんも来てたのね!」 

梓「こんにちは」 

澪「今日は勢ぞろいだな」 

純「今度は誰?」 

梓「琴吹家当主の娘」 

純「ほんとに凄いうどん屋だー!?」 

律「どうしたんだー?」 

紬「うん……ちょっと……」 



295:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 04:38:18.63 ID:gy6Zy7ZM0

律「?」 

律「まあ座った座った」 

紬「うん、ありがとう♪」 

紬「あら?」 

純「は、はじめまして!」 

純「私純です!ここの常連やってます!」 

梓「また手当たり次第に……」 

紬「私は紬よ♪」 

紬「よろしくね!」 

純「よろしくお願いします!」 

紬「りっちゃん!またお友達ができたわ!」キラキラ 

律「よかったな」 



296:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 04:41:24.58 ID:gy6Zy7ZM0

唯「あずにゃん、あ~ん」 

梓「やめてください!」 

梓「恥ずかしいです!」 

唯「いけず~」 

梓「それにうどんはあ~んするものじゃないです!」 

唯「いいじゃんいいじゃん」 

梓「だめです!」ガオー 

唯「ちぇー」 

梓「まったく……」 



297:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 05:04:43.62 ID:049ek+Ca0
今は誰のダシなんだ? 



307:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 09:12:09.87 ID:gy6Zy7ZM0

―――― 

純「そういえばさー、梓」 

梓「何?」 

純「なんでみなさんのこと先輩って呼んでるの?」 

梓「……そう呼べって言われてるから」 

純「えー、なんで?」 

梓「人生の先輩……だから」 

純「人生の先輩!?」 

梓「うん」 

純「か、かっこい~……」 

梓「そうかな?」 

純「うん!すっごく!」 

梓「まあ、そう言われれば」 



308:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 09:17:39.31 ID:gy6Zy7ZM0

純「私も先輩って呼ぶ!」 

純「いいですか?」バッ 

律「お、おう」 

純「やったあ!」 

律「なんかそう言われると恥ずかしいな~」 

澪「お前が言い出したんだろ」 

律「そうだったけ?」 

澪「忘れてたのかよ……」 

紬「……」 

紬「あ、あの!」 

律「ん?どうした?」 



309:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 09:23:00.21 ID:gy6Zy7ZM0

紬「突然で悪いんだけど……」 

紬「今日、ここに泊めてもらえないかしら……?」 

律「え?別にいいぞー」 

紬「ありがとう!」パアア 

唯「え?ムギちゃんお泊り!?」 

澪「そうみたいだな」 

唯「私も泊まりたい!」 

律「いいぞー、何人でもいいぞー」 

唯「わーい!」 

唯「あずにゃんは!?」 

梓「私は……今日は無理ですね」 

唯「えー、どうして?」 

梓「無断で外泊は禁止されてるので」 

唯「そっかあ……」 



310:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 09:28:07.44 ID:gy6Zy7ZM0

梓「こんどちゃんと許可をとってきます」 

梓「律先輩、いいですか?」 

律「おう!」 

唯「純ちゃんは?」 

純「私も……ちょっと無理ですね」 

唯「うう……」 

唯「じゃあ今日は4人で楽しもう!」 

和「ちょっと唯!」ピシャーン 

澪「うわあああ!?」ビクッ 

律「また人きたー!?」 

唯「和ちゃん!?」 

和「また無断で外出して!」 

唯「ご、ごめ~ん、和ちゃん!」 



311:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 09:32:35.00 ID:gy6Zy7ZM0

和「まったく……憂も心配してたわよ」 

唯「ほんと申し訳ないです……」 

澪「びっくりした~……」ドキドキ 

律「どうし唯がここにいるって分かったんだ?」 

和「勘よ」 

律「ああ、そう……」 

和「ほら、帰るわよ」グイ 

唯「あの……和ちゃん?」 

和「なに?」 

唯「今日ここにお泊りしてはいけないでしょうか……?」モジモジ 

和「だめよ」 

唯「ですよね~……」 

和「無断外出の上、無断外泊なんてだめよ」 

唯「りっちゃ~ん……」チラッ 



319:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 12:32:16.76 ID:gy6Zy7ZM0

律「唯、ちゃんと許可もらったらまた来な」 

澪「そうだな、私達はいつでもいいぞ」 

唯「うう……じゃあ明日泊まりに来る!」 

律「はやっ」 

唯「いい!?和ちゃん」 

和「お城の人に許可をもらいなさい」 

唯「うん!」 

唯「あずにゃんも明日来てね!」 

梓「明日ですか」 

唯「けって~い」 

梓「また強引に……わかりました」 

梓「私も家の人に許可もらってきます」 

唯「わーい!」 



320:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 12:32:58.01 ID:gy6Zy7ZM0

和「じゃあ帰るわよ」 

唯「はーい」 

唯「ばいばーい、みんなー」 

律「ああ」 

澪「じゃあな」 

紬「またね~」 

梓「私もそろそろ帰ります」 

純「あ、わたしも帰らなきゃ」 

律「おう」 

純「御馳走様でしたー」 



326:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 13:29:21.58 ID:gy6Zy7ZM0

律「唯、ちゃんと許可もらったらまた来な」 

澪「そうだな、私達はいつでもいいぞ」 

唯「うう……じゃあ明日泊まりに来る!」 

律「はやっ」 

唯「いい!?和ちゃん」 

和「お城の人に許可をもらいなさい」 

唯「うん!」 

唯「あずにゃんも明日来てね!」 

梓「明日ですか」 

唯「けって~い」 

梓「また強引に……わかりました」 

梓「私も家の人に許可もらってきます」 

唯「うん!」 



328:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 13:33:18.10 ID:gy6Zy7ZM0

和「じゃあ帰るわよ」 

唯「はーい」 

唯「ばいばーい、みんなー」 

律「ああ」 

澪「じゃあな」 

紬「またね~」 

梓「私もそろそろ帰ります」 

純「あ、わたしも帰らなきゃ」 

律「おう」 

純「御馳走様でしたー」 



329:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 13:37:40.62 ID:gy6Zy7ZM0

――外 

純「ねえ、梓」 

梓「なに?」 

純「唯先輩ってほんとに平沢家当主の娘?」 

梓「え、そうだけど……なんで?」 

純「いや、なんか全然偉い人って感じしないなーって」 

梓「ああー、たしかに」 

純「なんていうか……天然って言うの?」 

梓「うんうん」 

純「さっき妹の方は凄いって言ってたけど」 

梓「ああー、憂は凄いよ」 



330:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 13:42:34.52 ID:gy6Zy7ZM0

純「そうか……唯先輩よりすごいのか……」 

純(ということは……すごい天然ってことか……) 

純「いやー、はやく会ってみたいね!」 

梓「そんなに会いたいの?」 

純「うん!」 

梓「ふーん」 

純「あ、私こっちだから」 

梓「あ、うん」 

純「ばいばーい」 

梓「うん、またね」 



331:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 13:44:57.50 ID:gy6Zy7ZM0

――うどん屋 

律「みんな帰ったらすごい静かになったな」 

澪「そうだな」 

律「そういえばムギ」 

紬「な、なあに?」 

律「今日はどうしたんだ?急に」 

紬「うん……ちょっと……」 

律「?」 

紬「あの……お願いがあるんだけど……」 

澪「なんだ?」 

紬「今日だけでなく、しばらく泊めてもらえないかしら……」 

律「え?」 



332:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 13:48:04.45 ID:gy6Zy7ZM0

紬「やっぱり迷惑よね……」 

律「いや、泊まるのはいいんだけど……」 

澪「ムギ、どうしたんだ?」 

律「なにかあったのか?」 

紬「実は……」 

律「……」 

澪「……」 

紬「私、家出したの!」 

律「ええ!?」 

澪「家出!?」 

紬「うん……」 

律「どうしてだ?」 



333:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 13:52:51.73 ID:gy6Zy7ZM0

紬「……」 

律「……」 

澪「……」 

紬「その……」 

律「わかった」 

紬「え?」 

律「理由は聞かないでおくよ」 

紬「ごめんなさい……」 

律「まあ、遠慮するなって!」 

澪「そうだぞ」 

紬「ありがとう……」 

律「この話は終わり!」 

律「夜ごはんにしよう!」 

紬「うん!」 



334:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 13:55:16.90 ID:gy6Zy7ZM0

――平沢城 

唯「ほえ~」プシュー 

憂「どうしたの?お姉ちゃん」 

唯「お母さんに凄い叱られた……」グデー 

憂「ああ……」 

唯「もう勝手に外出はしないよ……」 

憂「そうだね」 

唯「はあ~……」 

唯「ねえうい~」 

憂「なあに?」 

唯「氷菓子~」 

憂「ご飯食べてからっ」 

唯「けち~」 

憂「めっ」グッ 



335:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 13:57:25.97 ID:gy6Zy7ZM0

唯「あとねー、明日りっちゃんち泊まりたいんだけど、お母さんとか許してくれるかな?」 

憂「うーん……聞いてみたら?」 

唯「そうだね~」 

唯「そう言えばりっちゃんのうどん屋さんの常連さんで、憂に会いたいって言う人がいたよ」 

憂「え?私に?」 

唯「うん」 

憂「どんな人?」 

唯「純ちゃんって女の子」 

唯「多分憂と同じ年だよ~」 

憂「へえ~」 

唯「だから今度憂も一緒にいこうよ」 

憂「うん!」 

唯「やったー!」 



336:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 14:00:24.32 ID:gy6Zy7ZM0

――うどん屋 

律「ある男の人が夜道を一人で歩いてたんだ」 

紬「……」ワクワク 

澪「……」ドキドキ 

律「それでな……真っ暗な道に女の人が立っているのをみつけるんだ……」 

律「男の人は後ろから声をかけた……『こんな夜中にどうしたんですか?』って……」 

紬「……」ゴクリ 

澪「な、なあ律……やっぱり怪談なんて……」ドキドキ 

紬「静かに!」 

澪「うう……」 

律「女の人は答えない……男の人は回りこんで女の人の顔を覗きこんだんだ」 

紬「……」ドキドキ 

律「そしたらな……その女の人は……」 

澪「ひいっ……」 

紬「……」ドキドキ 



337:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 14:04:43.95 ID:gy6Zy7ZM0

律「のっぺらぼうだったのだー!」クワッ 

紬「きゃー!」 

澪「わあああああ!」ドカン 

律「男の人は悲鳴を上げて逃げる!」 

紬「そ、それでそれで!?」ワクワク 

澪「もうやめてよう……」ブルブル 

律「逃げながら後ろを振り返ってみると……なんと顔のない頭だけが追いかけてくるではないかー!」 

澪「きゃああああ!」 

律「その女はのっぺらぼうのろくろ首だったのだ!」 

紬「男の人はどうなったの!?」 

律「男のどうなってしまったかは……誰にもわからない……」 

紬「す、すごいわ~……」 



338:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 14:06:41.68 ID:gy6Zy7ZM0

律「おーい、みおー」ユサユサ 

澪「お星様いっぱい……はは……」グラグラ 

律「ああ……当分帰ってこないな」 

紬「もっと聴きたいわ!」 

律「あー、でも澪がこんな調子だからなー……」 

律「みおー」 

澪「……」 

律「澪?」 

澪「zzz……」 

律「あ、寝ちゃってる」 

紬「澪ちゃん寝ちゃったの?」 

律「うん」 



339:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 14:09:29.87 ID:gy6Zy7ZM0

律「はあ~、私達も寝るか」 

紬「もう寝ちゃうの?」 

律「明日はうどん屋休みじゃないからな」 

紬「そうね……もっとお話ししたかったわ」 

律「よいしょっと」バサ 

紬「ねえ、りっちゃん」 

律「んー?」 

紬「明日、私もうどん屋さん手伝っていいかしら?」 

律「お、手伝ってくれるのか?」 

紬「うん!是非やりたいわ!」 

律「じゃあ明日に備えて寝よう!」 

紬「はーい!」 



340:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 14:16:35.59 ID:gy6Zy7ZM0

――翌日 

律「う……」 

律「……」 

律「朝か……」 

紬「おはよう、りっちゃん」 

律「お、もう起きてたのか」 

紬「うん」 

澪「zzz」 

律「みおー、朝だぞー」ユサユサ 

澪「うーん……はっ!?」ガバッ 

律「うお!?」 

澪「……」 

律「お、おはよう」 

澪「私……いつの間に寝てたんだ……?」 



341:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 14:18:04.09 ID:gy6Zy7ZM0

律「どこか遠くに行ったと思ったら寝てたよ」 

澪「え?」 

律「なんでもないよ」 

澪「そうか」 

紬「ところで今日はどんな手伝いをすればいいのかしら?」 

律「そうだなー、やっぱり注文取ったり運んだりかな?」 

紬「わかったわ」 

澪「どうしたんだ?」 

律「今日はムギも手伝ってくれるんだ」 

澪「へー」 

紬「でもちゃんとできるか心配だわ……」 

律「大丈夫だよ」 

律「唯でも出来てたからな」 

澪「ははっ」 

紬「私頑張る!」 



342:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 14:22:09.42 ID:gy6Zy7ZM0

―――― 

客1「ごめんよ~」 

澪「お、お客さんきた」 

律「ムギ行け!」 

律「練習の通りやれば大丈夫だ」 

紬「う、うん」ドキドキ 

紬「い、いらっしゃいませ~」 

客1「おや、新人さん?」 

紬「今日はお手伝いなんです~」 

客1「そうかそうか」 

紬「御注文は?」 

客1「えーと……じゃあこの特製りっちゃんうどんを一つ」 



344:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 14:26:57.25 ID:gy6Zy7ZM0

紬「かしこまりました~」 

客1「よろしく」 

紬「りっちゃん、私ちゃんとできてた?」 

律「ああ、完璧だ!」 

紬「本当!?」 

澪「本当だよ」 

紬「よーし!」 



345:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 14:29:40.20 ID:gy6Zy7ZM0

―――― 

紬「おまたせしましたー」 

客2「お、ありがとう」 

律「ムギだいぶ慣れてきたな」 

澪「うん、なんか楽しそう」 

客3「お水ちょうだーい」 

紬「はいはーい」 

律「でもみんなムギの正体には気づかないもんなんだな」 

澪「う~ん」 

澪「今まで露出が無かったから、名前は知っていても姿は知られてないんじゃないのか?」 

律「それもそっかー」 

澪「でも接客してるのが殿様の娘だなんて分かったらみんな驚くだろうな」

客4「うどんまだー?」 

律「あー、もう少しです!」 

紬「いらっしゃいませ~」 



346:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 14:32:46.96 ID:gy6Zy7ZM0

――夕方 

律「よし!今日はこれで閉店だ!」 

紬「楽しかったわ~」 

澪「ご苦労さま」 

紬「またお手伝いしたい!」 

律「おう!」 

唯「りっちゃん、泊まりに来たよー」ガラガラ 

律「うお!?唯!?」 

澪「ほんとに来たのか」 

律「扉くらい叩けよ!」 

唯「ムギちゃんおいーす」 

紬「おいーす!」 



348:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 15:00:23.91 ID:gy6Zy7ZM0

律「唯はいっつも急にくるなー」 

唯「えへへ~」 

澪「ちゃんと許可とってきたのか?」 

唯「うん!ばっちり!」 

律「じゃあ、大丈夫だな」 

唯「あずにゃんは~?」 

律「あー、来てないな」 

唯「はやく来ないかな~」 

澪「来れるかもまだ分からないんだぞ?」 

唯「あずにゃんはきっと来る!」 

唯「ね、ムギちゃん!」 

紬「うん!来るわ!」 

コンコン 

唯「来た!?」 



349:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 15:04:51.21 ID:gy6Zy7ZM0

律「はいはーい」 

ガラガラ 

梓「あ、こんにちはー」 

唯「あ~ずにゃん!」ギュ 

梓「むぎゅっ」 

唯「来てくれたんだね!」スリスリ 

梓「唯先輩も来れたんですね」 

律「許可とれたのか?」 

梓「はい」 

梓「ところでみなさん」 

律「んー?」 

梓「突然ですが、今日は一つ提案を持ってきました」 

澪「提案?」 

梓「はい」 



350:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 15:10:42.43 ID:gy6Zy7ZM0

梓「実は今度、中野家主催の演奏会があるんです」 

梓「みなさんも良ければ出演してみませんか?」 

律「ええ!?私達が演奏会に!?」 

唯「面白そう!」 

紬「私も出たいわ!」キラキラ 

澪「それって……お客さんの前で演奏するってことか?」 

梓「そうですね」 

澪「む、無理だよ!そんなの……」 

梓「え、どうしてですか?」 

澪「だって、大勢の前で失敗なんかしたら……」 

澪「うわあああ!」ドカーン 



351:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 15:16:19.54 ID:gy6Zy7ZM0

律「どこでやるんだ?」 

梓「私の家です」 

梓「結構歴史のある由緒正しい演奏会なんですよ」 

梓「近隣の殿様とかも観客としてくるぐらいですから」 

梓「毎年この時期にやるんです」 

唯「へ~」 

紬「でもそんな演奏会に私達が出演して大丈夫なの?」 

律「いや、少なくともムギは大丈夫だろ」 

梓「大丈夫です、既に許可はおりてます」 

澪「大勢の前で……演奏……はは……」 

唯「一人一人演奏するの?」 

梓「一人一人でもいいですし、みんなで合わせても大丈夫です」 

澪「みんなでやろう!」 

澪「ひ、一人でなんて……」 



353:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 15:21:01.86 ID:gy6Zy7ZM0

紬「でも琴と琵琶はともかく、琴と三味線を合わせるなんてあんまり聞かないけど……」 

律「あー、たしかに」 

梓「いいじゃないですか、前衛的で」 

律「前衛的ってお前……」 

梓「何事も挑戦です!」 

唯「そうだよ~、やってみようよ!」 

律「う~ん、まあそこまで言うなら」 

紬「そうね、やってみましょう」 

唯「いつやるの?」 

梓「1週間後です」 

澪「1週間後!?」 

律「結構はやいな」 



354:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 15:24:11.19 ID:gy6Zy7ZM0

紬「みんなで合わせるとなると……練習しなくちゃいけないわね」 

梓「そうですね」 

律「じゃあ、ムギのとこで練習させてもらうか」 

紬「あ……私のとこはちょっと……」 

律「!」 

律「あー、そっか……家出中か……」 

梓「え!?家出!?」 

唯「ムギちゃん家出したの!?」 

律「あ、やべ……」 

紬「う、うん……」 

唯「どうして?」 

律「ムギ、ごめん……」 

梓「ムギ先輩が家出……」 



356:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 15:26:37.01 ID:gy6Zy7ZM0

紬「……」 

紬「わかったわ……」 

律「え?」 

紬「みんなもいるし……ちゃんと理由を話すわ……」 

澪「ムギ……」 

律「……」 

梓「……」 

紬「私……結婚するかもしれないの……」 

澪「ええ!?」 

律「結婚!?」 

唯「ムギちゃんが……結婚!?」 

梓「だ、誰とですか!?」 



357:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 15:29:47.67 ID:gy6Zy7ZM0

紬「隣の国の殿様の息子さんなの……」 

律「な、なんだ~……おめでたい話じゃないか!」 

澪「そ、そうだな」 

唯「ムギちゃんおめでとう!」 

紬「でも……ほんとは結婚なんてしたくない……」 

梓「え?」 

紬「実は相手の人はお父様が選んだ相手なの」 

紬「他の国の殿様のとこにお嫁に行けば、政治的に有利になるって……」 

律「政略結婚ってやつか……」 

唯「政略結婚?」 

澪「政略結婚ってのは、政治目的の結婚のことだ」 

澪「相手方の子供と自分の子供が結婚すれば、政治の場でも仲間になれるだろ?」 

唯「へ~」 



358:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 15:34:32.02 ID:gy6Zy7ZM0

梓「へ~って……唯先輩も殿様の娘なんですから、今後そういうことがあるかも知れないんですよ?」 

唯「え、私が?」 

梓「はい」 

唯「結婚を?」 

梓「はい」 

唯「ないよ~」 

梓「お気楽ですね……」 

律「どうして嫌なんだ?」 

紬「だって……結婚なんてしたらみんなといれる時間が減っちゃうわ……」 

紬「それに勝手に決められた相手だなんて……」 

澪「ムギ……」 

紬「だから今は結婚なんて嫌……」 



359:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 15:38:23.94 ID:gy6Zy7ZM0

律「お父さんとは話しあったのか?」 

紬「一方的に言われたから……あまり話もできなかったわ」 

紬「そして思わず家出を……」 

律「そうだったのか……」 

澪「……」 

紬「……」 

律「なあ、ムギ」 

紬「なあに……?」 

律「だったら、その気持ちをお父さんに伝えなきゃ駄目なんじゃないのか?」 

紬「え……」 

梓「そうです!」 

澪「そうだな」 

澪「ちゃんと伝えればわかってくれるはずだ」 



360:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 16:00:53.44 ID:gy6Zy7ZM0

紬「でも……」 

律「大丈夫!私もついてくから」 

紬「本当!?」 

律「ああ!」 

紬「ありがとう!」 

律「澪もな!」 

澪「私も!?」 

唯「私もいく!」 

律「唯は待ってなさい」 

唯「え~、なんで~」 

律「お前が来ると話がややこしくなる」 

唯「ちぇ~」 

律「梓、唯と待っててくれ」 

梓「わかりました」 



361:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 16:09:54.39 ID:gy6Zy7ZM0
紬「みんなありがとう……」 

紬「私、お父様とちゃんと話あってみるわ!」 

律「よし!そうと決まれば明日お城の乗り込むぞ!」 

澪「乗り込むって……」 

梓「あ、そう言えば」 

梓「ちょっといいですか?」 

律「ん?どうした?」 

梓「さっきの演奏の練習の場所のことなんですけど」 

澪「そういえばまだ決まってなかったな」 

梓「私の家はどうでしょう?」 

梓「大体の楽器は揃ってますし、本番と同じ場所で練習できた方がいいと思うのですが」 

律「おー、そうだな!」 

唯「あずにゃんの家行ってみたい!」 

澪「ここからどのくらいなんだ?」 

梓「歩いて行ける距離です」 



363:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 16:13:13.09 ID:gy6Zy7ZM0

紬「そういえば梓ちゃん、いつも歩いて来てるわね」 

梓「はい」 

律「唯はいつもどうやって来てるんだ?」 

律「ムギは近いから歩いたりしてるけど」 

唯「私は商人さんの馬に一緒に乗せてもらったりしてるよ~」 

澪「ええ!?」 

律「おいおい……危ないな」 

唯「みんないい人なんだよ~」 

梓「何度も言いますが、唯先輩は殿様の娘なんですよ!?」 

梓「そんな知らない人にホイホイついていったらだめです!」 

梓「少しは自覚してください!」 

唯「あずにゃん怒った~」 

梓「怒ってないです!心配してるんです!」 

澪「唯は愛されてるな……」 



364:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 16:17:56.30 ID:gy6Zy7ZM0

律「でもこうなってくると明日から忙しくなるな~」 

澪「お店はどうするんだ?」 

律「こうなったら臨時休業だ!」 

澪「大丈夫なのか?」 

律「大丈夫大丈夫!」 

澪「うーん……」 

律「ちょっとの間だろ」 

澪「まあ……そっか」 

律「よし!頑張るぞ!」 

紬「おー!」 

唯「おー!」 



366:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 16:22:53.77 ID:gy6Zy7ZM0
――夜 

律「大嘘つき大会ー!」ダアー 

唯「おー!」パラリラパラリラ 

紬「いえーい!」ドンドンパフパフ 

澪「夜なんだから静かにしろ!」 

律「まずはムギから!」 

紬「女同士なんて……汚らわしいわ!」 

律「大嘘つきだー!」 

唯「嘘つきー!」 

律「行け!唯!」 

唯「世の中腐ってるよ!」キリッ 

梓「ぶふっ!?」 

澪「梓まで!?」 

紬「大嘘つきー!」 

律「そんなこと考えたことも無いくせに!」 



367:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 16:29:24.21 ID:icv9HKDq0
三点リーダを健気に2つ付けてる所にワロタ 



369:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 16:31:33.00 ID:gy6Zy7ZM0

唯「えへへ~」 

唯「さありっちゃん!」 

律「私……実はかつらなんだ……」 

紬「大嘘つきー!」 

唯「嘘つきー!」 

律「……」 

唯「あれ?」 

紬「りっちゃん?」 

唯「え……もしかして……」 

律「……」 

唯「本当にかつら……」 

律「うん……」 

唯「……」 

紬「……」 



370:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 16:32:45.83 ID:gy6Zy7ZM0

唯「……なんかごめんね」 

紬「……りっちゃんはりっちゃんよ」 

律「うん……ありがとう……」 

唯「……」 

紬「……」 

律「うそぴょーん!」 

唯「あー!」 

紬「凄い嘘つき!」 

律「よし!澪いけ!」 

澪「え、わ、私!?」 



371:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 16:33:26.73 ID:gy6Zy7ZM0

唯「さあ!」 

澪「あの……じ、実は……私男なんだ!」 

律「……」 

梓「……」 

紬「お、大嘘つき~……」チラッ 

唯「澪ちゃん……」 

澪(はずした~!)カアア 

律「ま、枕投げ大会ー!」 

梓(うやむやにした!?) 

唯「お、おー!」 

紬「よしきたー!」 



374:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 16:37:39.79 ID:gy6Zy7ZM0

律「とう!」 

梓「むぎゅっ!?」 

律「ふっふっふ」 

律「ここはすでに戦場なのだよ、お嬢ちゃん!」 

梓「やりましたね!?」 

唯「とう!」 

紬「唯ちゃん強~い」 

澪「消えて無くなってしまいたい……」ブツブツ 



375:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 16:41:05.69 ID:gy6Zy7ZM0

―――― 

律「ぐごー」 

紬「zzz」 

唯「おかわり……えへへ……」ムニャムニャ 

澪「スー…スー…」 

梓(みんな寝ちゃった) 

梓(……) 

梓(私も嘘考えてたのになー) 

梓(……) 

梓「私、髪の毛ほどくと巨大化するんです~」ボソッ 

梓「……」 

梓「大嘘つき~」 

梓「……」 

梓「寝よ……」 



401:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 23:45:32.83 ID:gy6Zy7ZM0

――翌日 

律「よし、扉に臨時休業の張り紙をしてっと……」ペタペタ 

律「よし!完璧!」 

澪「臨時休業なんて初めてだな」 

律「そうだな」 

唯「私もお城の入り口までついてく~」 

梓「私もいきます」 

律「行くぞ!ムギ!」 

紬「うん!」 



403:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 23:49:55.88 ID:gy6Zy7ZM0

――城への道 

唯「ムギちゃん!」 

唯「いー」グイー 

紬「いー」グイー 

唯「変な顔~」キャッキャ 

紬「唯ちゃんも~」キャッキャ 

梓「緊張感ないですね……」 

澪「なあ、律」 

律「どうした?」 

澪「あそこに立ってる人って……」 

律「どこ?」 

澪「ほらあそこ」 



404:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 23:54:38.94 ID:gy6Zy7ZM0

律「あー」 

律「あの人がどうした……ってお役人さんじゃないか」 

唯「りっちゃんどうしたのー?」 

律「ほら、あそこに立ってる人」 

唯「あー、あの人知ってる」 

唯「前お店に来てた人だよね?」 

律「そうそう」 

紬「あ、あの人……」 

律「ムギ知ってるのか?」 



405:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/05(火) 23:59:07.98 ID:gy6Zy7ZM0

澪「そっか、琴吹家の所属の人か」 

紬「ええ」 

紬「でもね……あの人は仕事のやり方が手荒くて有名なの」 

澪「あー、たしかに……」 

律「話かけてみるか」 

澪「え、なんで?」 

律「一応お客さんだしなー、挨拶くらいは」 

澪「まあ……そうか」 



407:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/06(水) 00:04:58.00 ID:AyzoOKGm0

―――― 

律「こんにちはー」 

さわ子「あら、あなたたち」 

さわ子「たしかうどん屋の」 

澪「はい」 

さわ子「あら、あなたも一緒なのね」 

紬「はい♪」 

律「こんなとこに立って何してるんですか?」 

さわ子「待ち合わせよ」 

唯「誰とですか~?」 

さわ子「男の人よ」 

唯「もしかして彼氏!?」 



409:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/06(水) 00:14:46.46 ID:AyzoOKGm0
さ 
わ子「これから彼氏になるかも知れない人よ」 

唯「へー!」 

さわ子「でもね……もう待ち合わせの時間過ぎてるのにこないの……」 

さわ子「恋文も沢山書いて送ったのに……」 

梓「沢山ってどのくらいですか?」 

さわ子「墨汁で満たした風呂釜が空っぽになったわ」 

律(うわあ……) 

梓(こわっ!) 

律「あのー……」 

さわ子「なに?」 

律「誠に申し上げにくいんですが……」 

さわ子「?」 



410:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/06(水) 00:20:50.96 ID:AyzoOKGm0

律「その男の人はもう来ないんじゃないかと……」 

さわ子「なんですって!!」クワッ 

澪「ひいっ!?」 

さわ子「あなた達に何が分かるのよ!」 

唯「怒った!?」 

さわ子「SATSUGAIするわよ!」シャー 

律「に、逃げろー!」 

さわ子「二度と来るんじゃねえ!」 



411:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/06(水) 00:25:54.56 ID:AyzoOKGm0

―――― 

唯「はあ……はあ……」 

澪「はあ……はあ……」 

律「どうやら触れてはいけない人だったみたいだな……」 

梓「そうですね……」 

律「ふう」 

律「気を取り直していくか」 

紬「そうね」 

律「何も無かった……何も無かったんだ……」 



412:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/06(水) 00:31:50.75 ID:AyzoOKGm0

――城の前 

律「ついたー」 

澪「なんか既に疲れた……」 

律「いいか?ムギ」 

紬「はい」 

律「私達はついては行くけど、ちゃんと自分の口から伝えなきゃだめだぞ?」 

紬「うん、大丈夫よ!」 

律「よし」 

澪「じゃあ行ってくるよ」 

唯「ムギちゃん頑張って!」 

梓「頑張ってください!」 



413:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/06(水) 00:35:30.21 ID:AyzoOKGm0

律「突入ー!」ダダダ 

紬「あ、待って~」タタタ 

澪「全く……遊びじゃないんだぞ」スタスタ 

唯「……」 

梓「……」 

唯「あずにゃんや」 

梓「なんですか?」 

唯「私達、暇だね」 

梓「暇ですね」 

唯「散歩でもしようか~」 

梓「そうですね」 



414:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/06(水) 00:39:56.71 ID:AyzoOKGm0

――琴吹城 

紬「斎藤!斎藤はどこ!?」 

家来「お、お嬢様!?」 

紬「斎藤を呼んで!」 

家来「た、只今!」 

律「ムギ気合い入ってんなー」 

斎藤「お嬢様ー!」ドタドタ 

斎藤「お嬢様!心配しておりましたぞ」 

紬「それより、お父様はいるかしら?」 

斎藤「は、はい」 

紬「今すぐお父様に会うわ」 

斎藤「はっ!」 


澪「なんか性格変わってるような……」 



415:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/06(水) 00:46:19.18 ID:AyzoOKGm0

――町 

唯「もう春だねー」 

梓「そうですね」 

梓「桜も咲いてきましたし」 

唯「ねえ、今度みんなでお花見しようよ!」 

梓「いいですね!」 

梓「私の家の近くに桜が沢山あるところがあるんです」 

梓「演奏会が終わったらそこでしましょう」 

唯「やったー!」 

唯「楽しみがまた増えたね~」 

梓「はい!」 

「あー!梓ー!」 

梓「え?」キョロキョロ 



416:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/06(水) 00:51:02.72 ID:AyzoOKGm0

唯「いまあずにゃん呼ばれたよ」 

梓「そうみたいですね」 

純「おーい!」タタタ 

梓「あ、純だ」 

純「今日も来てたんだー」 

梓「うん」 

純「唯先輩こんにちはー」 

唯「こんにちは!」 

純「なにしてるんですか?」 

唯「ちょっと暇だったからあずにゃんと散歩してたんだー」 

純「へえ、私も一緒にいいですか?」 

唯「いいよー」 



417:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/06(水) 00:57:10.96 ID:AyzoOKGm0

梓「純はこの町に住んでるんでしょ?」 

純「そうだよ」 

唯「じゃあ、純ちゃんがいれば安心だね」 

純「任せてください!」 

梓「どこかいい場所とかあるの?」 

純「うーん、場所より歩き回ってた方がいいことあるよ」 

梓「いいこと?」 

純「そ、いいこと」 

唯「楽しみ~」 



418:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/06(水) 01:00:32.32 ID:AyzoOKGm0

――殿の間 

紬「失礼します」 

律(家来沢山いる……) 

澪「……」ドキドキ 

紬父「紬よ」 

紬「はい」 

紬父「勝手に城を飛び出していくとは何事じゃ」 

紬「ごめんなさい」 

紬父「まあ行き先は大方検討がついておったが」 

紬「……」 

紬父「うどん屋の者よ」 

律「は、はい!」 



419:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/06(水) 01:05:41.90 ID:AyzoOKGm0

紬父「紬が迷惑をかけたようじゃな」 

律「い、いえ!そんなことないです!」 

紬父「そうか、そう言ってもらえると助かるのう」 

紬「今日はお父様に結婚の件でお話があります」 

紬父「おお、やっとその気になってくれたか?」 

紬「いえ、私は結婚をする気はありません」 

律(お、言った) 

紬父「なんじゃと?」 

紬「私はまだ結婚なんてしたくありません!」 

紬父「……じゃがな紬」 

紬父「お前が相手方の息子と結婚すればお前の将来だって……」 

紬「政治の道具にされるなんて私は嫌です!」 

澪(ムギ……) 

紬父「せ、政治の道具じゃと……!?」 



420:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/06(水) 01:08:08.01 ID:AyzoOKGm0

紬「私は今を大切にしたいんです!」 

紬「将来も大切だけど……今このみんなといる時間を大切にしたいんです!」 

紬「他の人に決められた相手と結婚させられてまた縛られたくはないの!」 

紬父「……」 

紬「……」 

紬父「……それがお前の考えだというのか?」 

紬「はい」 

紬「お父様が分かってくれるまでお城に戻る気はありません」 

紬父「……よろしい」 

紬「え?」 



421:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/06(水) 01:08:50.02 ID:AyzoOKGm0

紬父「ならば出て行くがよい」 

紬「っ!?」 

律「……」 

澪「……」 

紬「……はい 

紬「失礼しました」 

紬「行きましょう」 

律「お、おう」 

澪「いいのか?」 

紬「ええ」 

紬父「……」 



422:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/06(水) 01:09:33.72 ID:AyzoOKGm0

――町 

唯「ねえ純ちゃん、いいことってなあに?」テクテク 

純「そのうち分かりますよ」テクテク 

梓「どこに向かってるの?」 

純「てきとーだよ」 

梓「適当って……」 

純「あ、あそこ寄っていこう」 

唯「お店?」 

梓「そうみたいですね」 

純「こんにちはー」 

店主「おお、純ちゃん」 

店主「そちらはお友達かい?」 

純「はい!」 

店主「ほれ、これ持って行きな!」 

純「ありがとうございます!」 



423:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/06(水) 01:10:33.10 ID:AyzoOKGm0
店主「ほれ、お友達も」 

梓「あ、ありがとうございます」 

唯「草もちだー!」 

唯「私大好き!」 

店主「そりゃあよかった」 

店主「また来な!」 

純「はーい!」 

唯「いいことって、このことだったんだね~」モグモグ 

純「私って意外と顔広いんですよ~」 

純「お腹が空いたときはこうやって適当にその辺を散歩するんです」 

純「そうするとさっきみたいに」 

唯「おお~」 

唯「純ちゃんお主も悪よのう」 

純「唯先輩こそ」 

唯「わっはっはっは!」 



424:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/06(水) 01:11:15.80 ID:AyzoOKGm0

梓「でもそれってただずるいだけじゃあ……」 

純「え?何?」 

梓「なんでもないです」パクパク 

町人「おお、純ちゃん!」 

純「あ、こんにちはー」 

町人「丁度よかった!」 

町人「これみんなで食べな!」 

純「わ、カステラだ!」 

唯「わあ!」 

純「ありがとうございます!」 

町人「いいってことよ!」 

唯「純ちゃんすごいね!」 

純「えっへん!」 

梓(まあいいか……) 



425:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/06(水) 01:11:59.13 ID:AyzoOKGm0

――城の外 

律「ムギ、良かったのか?」 

紬「うん……」 

紬「でもごめんなさい……ちゃんと話を終わらせることができなくって……」 

澪「いや、ムギは頑張ったよ」 

律「そうだな、よくやったよ」 

律「私達は何もできなかったし」 

澪「ほんとだな」 

紬「ありがとう……りっちゃん、澪ちゃん」 

律「そういえば唯と梓はどこいったんだ?」 

澪「先に帰ったとか?」 

律「じゃあ私達も帰るか」 

紬「うん!」 



426:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/06(水) 01:12:48.23 ID:AyzoOKGm0

――琴吹城 

紬父「……」 

紬父「『また』縛られたくはない……か」 

紬父「……」 

紬父「斎藤」 

斎藤「はっ」 

紬父「さっきの紬を見て……お主はどう思ったかのう?」 

斎藤「紬お嬢様は成長なさいました」 

斎藤「とてもお友達を大切にしていらっしゃるようで」 

紬父「……そうじゃのう」 



428:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/06(水) 01:13:42.35 ID:AyzoOKGm0

――町 

唯「お腹いっぱ~い」 

梓「そうですね」 

純「あー、私そろそろ帰らなくちゃいけないです」 

唯「え、もう帰っちゃうの?」 

純「はい、家の手伝いほったらかしだったので」 

梓「ほったらかしでうろうろしてたの……」 

純「ということで、怒られちゃうんで私はこれで」 

唯「うん、またね~」 

梓「ばいばい」 

純「あ!今度妹さん連れてきてくださいよ!」 

唯「わかったよ~」 

純「楽しみにしてます!」 

梓(なんでこんなに会いたがってるんだろう……) 



431:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/06(水) 02:00:25.55 ID:AyzoOKGm0

――うどん屋 

律「ただいまーっと」 

澪「あれ?唯たちはまだか」 

紬「そうみたいね」 

律「この後どうするー?」 

紬「演奏会に向けての話し合いとかは?」 

澪「そうだな」 

律「今日梓のに行くのは無理かな―?」 

律「はやく練習もしたいし」 

紬「聞いてみましょう」 

唯「ただいまー」 

梓「あ、みなさん戻ってたんですね」 

唯「ムギちゃんどうだった?」 

紬「うん、実は……」 

紬は結果を唯と梓に報告した 



432:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/06(水) 02:05:35.93 ID:AyzoOKGm0

梓「そうですか……」 

唯「でも自分の気持ちは伝えられたんでしょ?」 

紬「うん!」 

唯「じゃあ大丈夫だね!」 

梓「大丈夫って、まだ問題は解決してないんじゃ……」 

紬「梓ちゃん」 

梓「は、はい」 

紬「私はお父様に気持ちを伝えたわ」 

梓「はい」 

紬「だからとってもすっきりしたの」 

紬「だから、その問題はちょっとの間忘れて、今は今度の演奏会を成功させたいの」 

紬「協力してくれる?」 

梓「わかりました!そういうことでしたら」 

紬「ありがとう!」 



433:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/06(水) 02:12:58.23 ID:AyzoOKGm0

律「それでなー、梓」 

梓「はい?」 

律「今から梓の家に行ってもいいか?」 

律「はやく練習もしたいし」 

澪「無理にとは言わないよ」 

梓「うちはいつでも大丈夫です」 

梓「もちろん今からでも!」 

律「本当か!?」 

梓「はい!」 

唯「え、今からあずにゃんの家にいくの?」 

紬「そうよ」 

唯「わーい!」 

律「よし!早速いくぞ!」 



435:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/06(水) 02:17:36.66 ID:AyzoOKGm0

――琴吹城 

斎藤「お手紙が届いております」 

紬父「わし宛てか?」 

斎藤「はい」 

紬父「なんじゃろうか」ガサガサ 

紬父「これは……おお!」 

紬父「中野氏の演奏会の招待状か!」 

紬父「またこの時期が巡ってきたか」 

紬父「……」 

紬父「今年からは紬も出させてやりたかったが……こんな状況だからのう……」 

紬父「ぬう……」 



436:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/06(水) 02:21:36.00 ID:AyzoOKGm0

――中野氏の屋敷 

律「おー、でかいなー」 

梓「演奏会などで使う大きい部屋と一体化してますからね」 

唯「りっちゃん!池があるよ!」 

律「お前池好きだな」 

唯「ふんすっ」 

紬「素敵なお屋敷ね」 

梓「ありがとうございます」 

梓「みなさん、中へどうぞ」 



437:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/06(水) 02:30:10.86 ID:AyzoOKGm0

――屋敷の中 

律「おおー、三味線が沢山ある!」 

紬「すごいわ」 

澪「色々な種類の三味線があるな」 

梓「そうですね」 

梓「津軽三味線に新内三味線、義太夫三味線に長唄三味線……」 

梓「地域や伴奏によって種類がちがいますね」 

唯「へー、そうなんだ」 

梓「いや、唯先輩は知っておきましょうよ……」 



439:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/06(水) 02:38:07.26 ID:AyzoOKGm0
―――― 
梓「ここが演奏会の会場です」 

唯「ひろーい!」 

澪「こ、こんな広いところで演奏するの……」ドキドキ 

律「今から緊張してどうする」 

紬「澪ちゃん、大丈夫よ」 

澪「う、うん」 

梓「じゃあ、早速練習……」 

律「唯!探検にいくぞ!」 

唯「おー!」 

紬「あーん、私も~」 

梓「ええ!?」 

梓「練習したいって言ったの律先輩じゃないですか!」 

律「いくぞー!」 

梓「ええー……」 

澪「まったく……」 



440:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/06(水) 02:42:37.72 ID:AyzoOKGm0

――屋敷のまわり 

唯「りっちゃん!水車があるよ!」 

律「おほー!かっけー!」 

紬「あっちになんか変な建物があるわ!」 

律「お?どれどれ?」 

梓「勝手に人の家を……」 

猫「にゃ~」 

澪「あ、猫だ」 

梓「この辺は野良猫が多くて集まってくるんです」 

澪「へえ~、そうなのか」 

梓「よしよし」ナデナデ 

猫「にゃ~」 

梓「……」ナデナデ 

梓「澪先輩」 

澪「ん?なんだ?」 



442:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/06(水) 02:46:17.36 ID:AyzoOKGm0

梓「猫又の話って知ってます?」 

澪「猫又?」 

梓「飼猫が老いると猫又という妖怪になって悪さをしたり……」 

澪「!?」 

梓「山奥に潜む猫又は人を食べちゃうとか……」 

澪「いやああああああ!」ダダダ 

梓「!?」ビクッ 

梓「……あれ?」 

梓「逃げちゃった……?」 

律「梓」 

梓「あ、律先輩」 

律「その調子だ」グッ 

梓「え?」 



443:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/06(水) 02:54:47.62 ID:AyzoOKGm0

―――― 

なんやかんやで演奏会当日…… 

唯「わー、人いっぱいだ!」 

梓「今までで一番客が多いそうです」 

澪「もう私帰る……」フラフラ 

律「待ちなさい」グイ 

澪「だって……無理だよう……」 

律「いいか?客をかぼちゃだと思うんだ」 

律「そうすればどうってことない」 

澪「かぼちゃ……」 

律「そうだ、かぼちゃだ」 



445:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/06(水) 03:00:14.69 ID:AyzoOKGm0

澪「……」ホワワ~ン 

澪「えへへ……おいしそう……」 

律「だめだこりゃ……」 

紬「楽しみだわ~」 

唯「見て見て!」 

唯「忍者!」ドロン 

梓「唯先輩も少しは緊張しましょうよ……」 

紬「梓ちゃんは緊張しないの?」 

梓「慣れてますから」 

紬「凄いわ~」 



446:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/06(水) 03:05:26.57 ID:AyzoOKGm0

―――― 

斎藤「到着しました」 

紬父「うむ」 

斎藤「こちらです」 

紬父「今年はいつになく人が多いのう」 

斎藤「過去最高のようで」 

紬父「そうか」 

紬父「紬を連れてこれなくて本当に残念じゃ……」 



447:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/06(水) 03:13:56.72 ID:AyzoOKGm0

――演奏会中 

律「みんな完成度高いなー」 

梓「有名な演奏家も沢山参加してますから」 

澪「かぼちゃ……かぼちゃ……」 

紬「かぼちゃ?」 

唯「澪ちゃんどうしたの?」 

澪「かぼちゃが沢山あるんだ……えへへ……」 

唯「いつもの澪ちゃんじゃない!?」 

紬「これは……何かの前触れ!?」 

律「お前らも落ち着け」 

梓「この次の人が終わったら私達ですよ」 

澪「うう……」 



448:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/06(水) 03:19:32.38 ID:AyzoOKGm0

律「みーお」 

澪「りつう……」 

律「一回深呼吸だ」 

澪「うん……」 

澪「すー……はー……」 

律「少しは落ち着いたか?」 

澪「うん……」 

律「よし」 

梓「そろそろですよ」 

律「よし!気合いいれてくぞ!」 

唯「おー!」 

紬「おー!」 



449:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/06(水) 03:24:18.04 ID:AyzoOKGm0

――客席 

紬父「皆すごい演奏をするのう」 

紬父「次はどんな演奏が聴けるのじゃろうか」 

紬父「……」 

紬父「ほう、次は女の子たちか」 

紬父「……ん?」 

紬「あれは……」ジー 

紬父「!?」 

紬父「紬!?」 

紬父「な、なぜ紬が……!?」 

紬父「……」 

紬父「そうか……友達と……」 

紬父「……」 



450:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/06(水) 03:30:09.09 ID:AyzoOKGm0
――舞台 
律「よーし、配置はばっちりだ」 

澪「みんな見てる……」ドキドキ 

紬「澪ちゃん、大丈……」 

紬「!?」 

紬(お、お父様!?) 

律「ん?ムギどうした?」 

紬「……」 

律「あ!」 

唯「どうしたの?」 

律「あれ」 

唯「あ、ムギちゃんのお父さん!」 

澪「見にきてんだ」 

紬「さあ、はじめましょう」ニコッ 

律「……わかった」 

律「いくぞ!」 



451:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/06(水) 03:33:22.70 ID:AyzoOKGm0

――演奏中 

紬父「……」 

紬父(紬の演奏は何度も聴いたことがあるが……) 

紬父(あんなに伸び伸びとした演奏は初めてじゃ……) 

紬父(今まで聴いたどんな演奏よりも美しい……) 

紬父(……) 

紬父(紬のやつ、演奏中なのに微笑んでおるわ) 

紬父「……」 



452:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/06(水) 03:37:58.57 ID:AyzoOKGm0
――終了後 

唯「大成功だよね!?」 

律「大成功だ!」 

梓「みなさん凄かったです!」 

澪「ちゃんとできたぁ……」プシュー 

紬「……」 

紬「み、みんな!」 

紬「私……」 

律「……」 

律「ムギ」 

律「行っておいで」 

紬「……うん!」 

紬「ありがとう!」タタタ 

唯「りっちゃん、かっこいいですな」ツンツン 

律「よせやい」 



453:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/06(水) 03:43:53.46 ID:AyzoOKGm0
―――― 

紬「お父様……」 

紬父「紬、素晴らしい演奏じゃったぞ」 

紬「ありがとうございます……!」パアア 

紬父「今までで最高の演奏だったのう」 

紬「はい!」 

紬「それで……その……」 

紬父「斎藤」 

斎藤「はっ」 

紬父「今すぐ、隣国の相手方に使いを向かわせるのじゃ」 



454:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/06(水) 03:48:38.62 ID:AyzoOKGm0

斎藤「早急に手配いたします」 

紬父「うむ」 

紬「え、それって……」 

紬父「結婚は取りやめじゃ」 

紬「お父様……!」 

紬父「すまぬのう、紬」 

紬父「わしは『また』同じ過ちを犯してしまうところだった」 

紬父「お前は……お前の意思で生きるのじゃ」 

紬父「わかったな?」 

紬「はい!」 



455:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/06(水) 04:00:24.47 ID:AyzoOKGm0

―――― 

律「ありがちやなー」 

唯「だがそれでいいんだよ!」 

澪「でもよかったな」 

澪「お父さんも分かってくれて」 

梓「そうですね」 

律「これにて一件落着!」 

澪「私達は何もしてないだろ」 

唯「あずにゃ~ん」 

唯「次はお花見だよ!」 

律「お花見!?」 

梓「はい、唯先輩と演奏会が終わったら、みんなでお花見しましょうって話してたんです」 

律「そうだったのか!」 

律「こうしちゃいられない!」 



456:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/06(水) 04:03:15.50 ID:AyzoOKGm0

――お花見 

律「じゃあ、演奏会の成功をお祝いして……」 

律「乾杯!」 

一同「乾杯!」 

唯「見て見て!」 

唯「桜吹雪!」ブオー 

紬「唯ちゃんすごい!」 

澪「あ、これおいしい」モグモグ 

律「というか梓」 

梓「なんでしょう」 

律「ムギのお父さんが来ること梓は知ってたんじゃないのか?」 

梓「すみません、忘れてました」パクパク 

律「おいおい……すごい大事なことだぞ……」 



457:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/06(水) 04:09:36.27 ID:AyzoOKGm0

梓「結果がよかったんだからいいじゃないですか」モグモグ 

律「まあ……そうだな」 

梓「そんなことより今はお花見を楽しみましょう」モグモグ 

律「そうだな!」 

梓「そうです」モグモグ 

律「それとな、梓」 

梓「はい」モグモグ 

律「口に物をいれて喋るんじゃありません」 

梓「すみません」モグモグ 

律「わかってないだろ!」ビシッ 



第二篇 完 



459:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/06(水) 04:14:33.74 ID:AyzoOKGm0

地理関係をちょっと 

・律と澪のうどん屋は琴吹城の城下町にある 

・純ちゃんも琴吹城の城下町に住んでいる 

・琴吹城の東の方角に平沢城があり、平沢城の城下町も存在する 

・梓の家は琴吹城の南の方角にあるが、琴吹城城下町の中ではない 

・平沢城からうどん屋に行くのと、梓の家からうどん屋にいくのでは前者の方が遠い 




第三篇につづく 唯「昔ばなし!」